因果応報なんてない

外国の事情はよく知らないが、「人に悪いことをすると自分に返ってくる」という“因果応報説”を信じている日本人は多いと思う。あるいは実際は信じていなくても、「悪いことをすると自分に返ってくるから、悪いことすんじゃねえよ」と、他人を脅す文句として多く使われているように見える。

 

しかし実際は、「嫌なことをされた相手はさらに自分より弱い相手をいじめる」ので、嫌なことをした本人のところに返ってくることは少ない。虐待を受けた子供は虐待した親に仕返しをするのではなく、自分の子を虐待するのと同じである。悪いエネルギーは弱い方へ弱い方へと流れる。

 

このように、因果応報の法則など全くのでたらめだということは一目瞭然なのに、現代においてもこの言葉は好んで使われるのが不思議である。全ての悪い出来事が、まるでその人自身に責任があると責めるような、忌まわしい習慣である。悪いことをしている人間に必ず報いがあるというのなら、世の中の犯罪者は全員死んでいるはずだろう。

 

悪人でも許されるべき、と言いたいのではない。ただ、悪いことが起きたときに「因果応報だよ」と軽々しく言うべきではないということだ。それは「1億円当たるかもしれないから絶対宝くじを買え」と他人に言うくらいおかしな、何の根拠もない言葉である。

 

悪いエネルギーが弱い方へと流れるのを止めるにはどうすればいいか、というのが一番の問題であるが、その答えを導きだしたらノーベル平和賞ものだ。私のようなカスカスの脳みそでは10回生まれ変わっても無理だろう。

 

私は引き寄せの法則にも一時ハマり、世の中のすべての出来事は関連付けられていると強迫観念的に思い込んでいたが、そう考え始めたせいで逆に病んでしまった。因果応報とか引き寄せの法則とかに縛られず、起こることは個々の勝手な現象でありコントロール不可、と最初からあきらめた方が気が楽だと思う。